21人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだね。君の言う通りだ」
敬一君のお父さんが僕をじっと見つめて言った。
さっきからよく敬一君のお父さんと目が合うと思っていたけれど、たまたま目が合うんじゃなくて、敬一君のお父さんが僕をずっと凝視していたんだと気付く。
何で僕を見ているんだろう?
「ねぇ、葵君、夕食が出来るまで時間があるから、スパに行かないか?」
敬一君が明るい声で言った。
「スパなんてあるの?」
「凄いのがあるよ!」
「へぇ……」
やはり敬一君のお父さんがずっと僕を見ている。
気のせいなんかじゃない。彼に見つめられるのは気持ちのいいものではなかった。
敬一君が父親に笑顔で言う。
「お父様も一緒に行きましょう」
えっ! 勝手に誘わないで欲しい!! それは嫌だ!! こんな視線を裸で浴びたくない!!
「私は遠慮しておくよ。子供同士の方が楽しいだろう。2人で行きなさい」
敬一君のお父さんのその言葉にホッとした。
「そうですか」
敬一君の声は残念そうだ。
「私は研究があるので、これで失礼するよ。葵君、つかの間、この島を楽しんでいってくれ」
そう言うと敬一君のお父さんは立ち上がって、応接室を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!