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C学2年の夏、僕のクラスに井富敬一〈いとみけいいち〉君と言う名前の転校生が来た。
平凡な容姿をした男の子だ。
男子の友達がおらず、女子達とスゥイーツの話とタレントの話ばかりしている僕に、ある日その彼が笑顔で話しかけて来たのだ。
放課後、家に帰ろうと教室を出る所で彼が話しかけて来て、僕は戸惑い、そして、久し振りの男子との会話で狼狽えた。
「小林君、だよね。よろしくね」
「あ、こちらこそ、よろしく」
僕は乱暴で下品な男子と話すより、女子と話す方が楽なタイプだった。友達になれるだろうか。不安だ。
「僕、小林君の事、ずっと前から知ってたよ」
「ずっと前から? 何で?」
「前に美少年コンテストに出てたの、テレビで観てたから」
「あ、アレか~。そうなんだ。観てたんだ」
僕は苦笑いした。アレは思い出したくない出来事だった。
「僕、小林君が優勝すると思ってたんだけど、君は準決勝に出るのを辞退したんだよね。どうして?」
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