第1章 エデン

4/46
前へ
/105ページ
次へ
「僕、野球とかサッカーとか興味ないよ? するのも苦手だし。血の出るスポーツは特にダメ。いいの?」 やっぱり男子とは話が合わないんじゃないだろうか? 「全然いいよ! 仲良くして欲しいな。小林君」 「葵って呼んでよ。僕も敬一君って呼ばせて」 僕は頬を少しだけ熱くした。 「うん。葵君。一緒に途中まで帰ろう」 敬一君と言う少年は容姿も存在も地味な感じで、特に目立つ言動もない。 けれど、とても物腰が優しく、同じ年頃の男子の乱暴さは皆無で、僕は安心出来た。 敬一君は、どんな話をしても笑顔で返してくれる、僕の気持ちのいい友達になった。 ★★★ ある日、学校の帰り道、敬一君が僕に言った。 「葵君、今日、ちょっと寄り道しない?」 「いいけど、どこへ? あんまり遅くなれないよ。夕飯作らないといけないんだ」 「遅くならないから大丈夫! 付き合ってくれるよね?」 「どこ? メイドカフェ?」 僕はふざけて言う。 「ちーがーうーよー!」 敬一君に笑って返された。 「じゃあ、どこ?」 「来れば解るよ! 驚かせたいんだ」 電車を乗り継いでとある駅に着いた。少し歩いて桟橋に2人は立った。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加