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「僕、野球とかサッカーとか興味ないよ? するのも苦手だし。血の出るスポーツは特にダメ。いいの?」
やっぱり男子とは話が合わないんじゃないだろうか?
「全然いいよ! 仲良くして欲しいな。小林君」
「葵って呼んでよ。僕も敬一君って呼ばせて」
僕は頬を少しだけ熱くした。
「うん。葵君。一緒に途中まで帰ろう」
敬一君と言う少年は容姿も存在も地味な感じで、特に目立つ言動もない。
けれど、とても物腰が優しく、同じ年頃の男子の乱暴さは皆無で、僕は安心出来た。
敬一君は、どんな話をしても笑顔で返してくれる、僕の気持ちのいい友達になった。
★★★
ある日、学校の帰り道、敬一君が僕に言った。
「葵君、今日、ちょっと寄り道しない?」
「いいけど、どこへ? あんまり遅くなれないよ。夕飯作らないといけないんだ」
「遅くならないから大丈夫! 付き合ってくれるよね?」
「どこ? メイドカフェ?」
僕はふざけて言う。
「ちーがーうーよー!」
敬一君に笑って返された。
「じゃあ、どこ?」
「来れば解るよ! 驚かせたいんだ」
電車を乗り継いでとある駅に着いた。少し歩いて桟橋に2人は立った。
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