第1章 エデン

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3時間も寝るなんて! 何で急に眠くなったんだろう? 睡眠薬で眠らされた? ファントムじゃあるまいし、敬一君がそんな事をするはずがないだろう。だって、そんな事をする理由が思い浮かばない。 「着いたよ」 敬一君がそう言って僕を見て微笑んだ。 「着いたって……。ここはどこ?」 明らかに出航した場所ではない。 「伊豆諸島のひとつ、パノラマ島だよ。ここは僕のお父様が住んでいる島なんだ」 伊豆諸島?! 東京湾一周をするはずが何でパノラマ島なんて所にいるんだ? 「何でここに来る事、前もって教えてくれなかったの?」 僕は訊ねる。 「ごめんね、言い忘れちゃった」 「何それ、言い忘れちゃったって……。僕もう、帰らなくちゃ。東京に着くの何時くらいになるかな?」 「ねぇ、せっかくだから、ちょっとだけ降りてみようよ」 えぇ……。敬一君て凄いマイペースなんだな。知らなかった。 でもせっかくだと言われれば、せっかくだ。兄さんには電話で連絡すればいい。
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