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「よし、僕だって見つけてやる! あれ?!」
僕は驚いた。よく見ると全てのクローバーが四つ葉だったのだ。
「どういう事? 四つ葉のクローバーは、まれに1万分の1の確率で、突然変異体として、四つ葉のクローバーになるんだよ? こんなに広大な四つ葉のクローバー畑なんて聞いた事がないよ」
「この島のクローバーは全て遺伝子操作で四つ葉にした物なんだ」
「凄い! 特許が取れるんじゃない?」
「この四つ葉のクローバー畑のアイデアは島の設計者のものなんだけど、実際に遺伝子操作で現実のモノにしたのは、僕のお父様なんだよ」
「へぇー! 研究者なのかな?」
「遺伝学の博士だよ」
「へぇ、凄いんだね」
「うん」
敬一君は誇らしげに微笑んだ。
「ねぇ、ところで、この小屋は何?」
船着き場の近くに建っている、茶色の薄そうな板で作った木造平屋建ての小屋が、何となくそこだけ殺風景な感じで、僕は気になって訊ねた。
「花火倉庫だよ」
「花火?」
「結婚式で上げる花火を置いてあるんだ。」
「誰と誰が結婚するの?」
「僕のお父様と、僕の知り合いだよ」
「へぇ! 君のお父さんが! 式はいつ?」
「来週の今日」
「すぐだね! おめでとう」
「うん。ありがとう」
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