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別にホラー的な何かに怯えるわけじゃない。だって、文化祭のお化け屋敷とかも全然平気だし。
ホラーより怖いものは何か。
それは生身の人間なわけで……、何されるんだろ。
もう何かされるの前提な自分に笑えてくる。
まず一つぬいぐるみを見る。怪しい縫い目がないか確認した。
そっか。男子たちは縫い目とかわかんないよね。
満里も家庭科は壊滅的だから、私が見た方が要領いい。
自分に言い聞かせて、怪しいぬいぐるみはないか探す。とくに怪しいぬいぐるみは、なさそうだと思ったんだけど、最後のぬいぐるみに機械的な重さがあった。
まさか……
いきなり爆弾見つけた……?
ヒヤリとする。
嫌だ。まだ死にたくない。
ぬいぐるみを持ったまま、最悪のことを思い浮かべる。これが爆発したら……。
ごくりと息を飲む。
もう動けない。
ぬいぐるみも動かせない。
その様子に、気づいた満里が声をかけてきた。
「香夜? どうした?」
声をかけられたと同時に、持っていたぬいぐるみが急に喋り始めた。
『香夜? どうした?』
反復してるようだった。
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