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「いや、方法はあるぞ」
南条はドアに背を向けて部屋の反対に行く。南条の行動を見て、私たちは気づいた。
「窓か!」
畑岡が感心して声を上げた。南条は得意気だ。
「窓を開けて大声を出せば、誰かしら気づくだろう」
「さすが南条!」
一気にみんなの顔が明るくなる。
いや、本当に頭のキレは変わらないな。
素直に凄いと思う。
私たちは、窓側にきた。そして、窓を開けると全員で息を吸って大声を出した。
「誰かーーーー!!!!!!」
とてつもない近所迷惑。
でも、私たちはそれだけ必死だった。
とにかく一刻も早く相場を見つけたい。
ここで立ち往生している場合じゃなかった。
一回の掛け声で届いたようで、一階の窓が開いた。あれは確かお風呂がある部屋だ。
開いたところから顔を覗かせてきたのは、照屋だった。
「どうしたの?」
「閉じ込められたから、外から部屋のドアを開けて欲しい!!」
叫ぶ斉賀に照屋は首をかしげた。
「え、大丈夫?」
「大丈夫。来て、開けてもらったら説明するから、とにかく皆でこっちに来てくれないか?」
「わかった!」
照屋は斉賀の言葉に頷くと、顔を引っ込めた。
もう17時か……。
暗くなる前に気づいてよかったな……。
少し待っていると、外からドアが開いた。ドアの向こうには、心配そうな5人の姿があった。
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