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「中野さんに用か?」
畑岡が恐る恐る聞く。
嫌な予感がして仕方ない。足が小刻みに震える。
「ゲーム主催者からの命令だ」
そう言って男は、私に手紙を差し出した。
さっき手紙を読むのを後回しにしたのに、結局違うところで読まされるなんて……。
私は眉を潜めながらも、知春の命令には従わないといけないと言い聞かせて読むことにした。
「『これからミニゲームをやります。今目の前に覆面の男性がいますね。その人からクジを受け取って、誰がミニゲームをやるのか決めてください。ミニゲームはロシアンルーレットです。当然、貴女が選ばれることもあるので悪しからず。』」
「ロシアンルーレット……」
満里がひきつった表情で呟いた。
いや、この場にいる全員がひきつっている。
やっぱり、彼女は隙あらば一人でも殺そうと思っている。狂気染みた演出に私は、下唇を噛んだ。
考えても対抗策は思い付かない。
「私がロシアンルーレットやるんじゃダメなの?」
「中野さん……!?」
「香夜何言ってるの!?」
斉賀と満里が反応する。男は、フッとバカにしたように笑ってきた。
「それはダメだな。それに今の自分の立場をわかっているのか。お前は参加者にとって最後の手段のはずだ。仮にこのロシアンルーレットがお前で失敗したらどうなる? 最後の手段であるお前は居なくなり、周りを追い込むことになる」
男に言われ、私は、口を接ぐんだ。
だから、私がクジを引くのか。
一番のキーマンは私だ。そのキーマンである参加者にクジを引かせたいのだ。
そして、自分を引くわけにいかなくする。
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