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男の言った通り、私はみんなの最後の希望だ。そんな私がここで消えるわけにいかない。 だからって、他の命はどうでもいいわけじゃないんだけど。他の人が失敗したらと考えると、やっぱり自分がやった方がマシだと思える。 覆面男は、私に割り箸を差し出してきた。これがクジなのだろう。 「さあ、引け」 この男をなんとか出来ないか考える。 私の視線に気づいたのか、男は、クジを持っていない手を動かし、私に銃口を突きつけてきた。 拳銃だ……。 初めて目の当たりにする代物に、私はごくりと息を飲む。 「どうかしようとしても無駄だぞ。クジを引かなければ、無条件でお前は死ぬ。それから、俺をなんとかしようとしても仲間がいるからな。甘いことは考えない方がいい」 ドアは開けっぱなしだ。そこから、影が揺れてるのがわかった。仲間も聞いているということか……。 なんでこう追いつめられるんだろう。 みんなも何も言動できなくなっている。 クジを引くしかない。 私は男の差し出す割り箸を一本取った。名前を見るのが怖い。 ゆっくり、クジを引く。 名前もゆっくりと露になった。 「『木村』だな」 男が言った。私の手は震える。 「待って。やっぱ私が……」 顔を上げて訴えた。 こんなの間違ってる。
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