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「誰が木村だ」 男が問うと、緊張した面持ちで、木村が一歩前に出た。 「お前か……」 男は彼を一瞥すると、私から銃口を向けるのをやめ、木村に近づいた。 木村は何かを堪えているようだった。 恐怖と、自分の命と必死に戦っているのかもしれない。 男は、拳銃を弄り、弾を一つにすると、シリンダーを回して弾を納めた。 本当に入っていることを確認せざるを得なかった私たちは見つめているしか方法がなかった。 いつもお調子者の木村は何も発しない。 誰とも目を合わせようともしなかった。 覆面の男は、黒い凶器を木村に差し出した。木村は、深呼吸を一つして、腫れ物に触るように黒い凶器を受け取った。 拳銃が揺れる。木村が震えてるのがわかった。 木村は拳銃を持ったまま、立ち尽くす。 ハンマーはもう私のこめかみに銃口を充てたときに男が引いているから、木村は撃つだけだ。 「どうした」 覆面の男は、木村に早くする自分を打つように促す。 木村は顔を上げた。
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