28人が本棚に入れています
本棚に追加
「やったら、本当に宮城野に会えんだろうな?」
いつも男性にしては高い彼の声は、低かった。
いつそんな条件を付けたんだろう。
「約束を取り付けたのか」
「ああ。そこにいる奴らと交渉してな」
「……良いだろう。会わせてやる」
加藤が上手く交渉したのだろうか。
木村の後ろにいる加藤は不安げに木村を見つめていた。
木村はその言葉を聞くと、ゆっくりと震えながらこめかみに銃口をつけた。
つけた瞬間にビクッと体を揺らす。
周りからはわからないだろうけど、私は、今さっき体験したばかりだからわかる。
銃口を充てるとカチャッと頭に響く。
それで驚いてしまったのだと思う。
私も満里も両手を握り、祈りのポーズをした。
木村がどうか無事でいますように。
そう願わずにはいられない。祈りのポーズをしないまでも、それは全員が思っていた。加藤以外のメンバーの顔は見えないけど、加藤も拳を握っている。
緊張感はとっくに頂点を達していた。
木村が引き金を引かなきゃいいとさえ思った。
最初のコメントを投稿しよう!