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木村は目を瞑った。そして、息を吸うと、思いきり引き金を引いた。
カチャッ。
部屋には乾いた音が鳴った。こんなに静かだったから聞こえたのだろう。
結果は……、成功。
カチャッという音しか出なかった。満里は私を抱き締めてきた。私も思わず抱き締め返す。
自分が息を止めて見ていたことに気づいた。ホッと息を吐く。でも、心臓はまだうるさくドキドキ言っている。
安堵はしたけど、緊張はそう簡単にほどけたわけじゃなかった。
「成功だな」
木村は真っ直ぐ覆面の男を見た。
額は汗が湧き出ていて、緊張が窺える。
男は木村を見て、頷いた。
「全員、最初の部屋で待っていろ。準備をする。部屋で待たなかった場合は……」
男は、木村から奪うように拳銃を取ると、私にそれを向けた。
満里が抱きついてたから、思わず庇うように回る。
「こういうことになる。わかったな」
銃を降ろすと、出ていった。
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