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「みつけた!」
「健人!」
きみはぼくを力いっぱい抱き締めた。ぼくもきみの背中にしがみつく。
『サン!ニー!』
きみはぼくを引き剥がすと、ぼくの頭をつかんで、人目も憚らずキスしてきた。
『ハッピーニューイヤー!!』
みなとみらいに、歓声と除夜の汽笛が響き渡る。みんな大興奮で、ぼくらのことなんか誰も気にしていなかった。きみはもう一度ぼくを抱き締めた。
「よかったー、間に合ったー!マジでチョー焦った。おまえの願いは絶対かなえたかったから」
ぼくは歓声に負けないように大きな声を出した。
「健人!好き!大好き!」
きみの顔をもう一度確かめた。さっきは二人もの人と見間違えたのだ。今度こそ本物の健人である。夢を見ているみたいだ。
「健人、どこで待ってたの」
きみは情けない顔をして首の後ろに手を当てた。
「実はずっと遠くから見てた。通信制限のせいで、スマホのバッテリーの減りが思ったより早くてヤバかったからさ、はぐれるとマズイなと思って。だから電話くれた時すぐ合流しようとしたんだけど、おまえらいきなり走り出しただろ?途中まで追いかけたんだけど、このあたりで見失って、ダッフルコート男子大捜索だよ。ところで、近藤さんは?」
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