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『まだリンカーベルでもないのにはしゃぐな、弱者共…。
大丈夫でしたか? 怪我もないようで安心したなり、強者よ』
戦ったという言葉は似つかわしくない、それは圧倒的過ぎた。一人の乗客が盗賊の大男を素手で簡単に再起不能に追いやった。腕や足に妙な文字を刻んだ赤髪のお団子結びの愛らしく、華奢に見える少女だ。
盗賊共を簀巻きにして最高尾の貨物庫に放り投げた彼女は何が気に入ったのか僕の隣に座った。雑談を交わして目的地であるリンカーベルに着く頃には随分と親しく会話をするようになっていて、波長が合ったようで心地良い。国も違うであろう初対面の人間とこうして一緒に旅が出来るのだから、田舎を出たのも間違いじゃない。
僕は完全にリンカーベルを甘く見ていたのだ。
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