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『六“ムツ”は料理人になるためにリンカーベルのシャルルに? 遜々“ソンソン”も六と同じ町のシャルルに行くなり。でもシャルルは危険地レベルが高い…六、遜々とシャルルに行くなり。腕に多少は自信、ある』
リンカーベルのレッドゾーン
シャルルという町はそんな二つ名のつくリンカーベルでも危険地と呼ばれる場所。それでもシャルルには多くの奇跡が起こると言われ、シャルル・ル・ホテルが一流ホテルと呼ばれるのは泊まれば命の保証がされるというところなのだ。従業員は皆、レッドゾーンに慣れた強者揃いだから。
そんなシャルルにすっかり弱腰になっていた僕は心強い仲間と共に行くことをすぐに同意する。列車を降り、いよいよリンカーベルの門を潜る。入るのは簡単だ、ただ進めばいい。しかし…出るのはこうはいかない。
『六! 早く路地裏に!』 象のようでしかしその巨体が雲まで届きそうな規格外生物に道路を分断され、身も分断されそうになり
『六! 息を止めてしゃがむなり!』 空から青い炎が落ちて来たかと思えば、消えない炎となり生きる物の全てを否定され
『六! ここでは何も考えては駄目!』 世界が暗転したかと思えば異空間に飛ばされ迷宮に阻まれる
『六、そっちは逆の道なり』
いつの間にか手を繋いで僕らはホテルの正面玄関へと辿り着いた。全ての危険を払ってくれた遜々は道中楽しそうに笑って、僕はびーびーと一人で泣き叫ぶばかりだった。
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