味覚の領域

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これは、料理人になったばかりの男の物語。 男「ふぁぁ今日も1日頑張りますか!ってオーナーにまた怒られるんだろうなぁ、、、なんでかなぁこんなにおいしいのに。」 男は昨日オーナーから研修の為に自作で何か一品作れと言われオーナーにチーズ入りパスタのジェノベーゼ遭えを出したが、不味すぎて話にならんと言われ小一時間みっちり説教された挙げ句にそのあとずっと野菜の皮むきだけやらされていた。 男「んーあんなに怒ることないよなー、、、パスタにチーズ練り込んで口の中でトロットロになってチーズの風味が口いっぱいに広がるのに、、、これのどこがダメなんだろう。」 男は昨日オーナーから怒鳴られたあと、また今日も自作の料理を一品作れと言われている。 男は自分の料理を旨いと思って自信まんまんだったが、それがダメだと言われ、このまま引き下がるのはプライドが許さないと思っていた。 男「なんとしても、この料理で旨いと言わせてやる!」 男は通常の出勤時間の4時間も前から店の厨房で1人、自分の料理の思考錯誤を行っていた。 何度も作り直し、微調整を加え、風味や食感、におい、見た目の質をどんどん高めていった。 男「よし!これで行ける!絶対にオーナーに旨いと言わせてやる!」 そして皆が出勤し出し、最後にオーナーが店にやって来た。 オーナー「お早う。今日も1日お客様に最高の料理を提供しましょう。それではよろしくお願いします。あぁ、そこの新人!ちゃんと考えて来たんだろうな?昨日より良いもの出すんだろうな?」 男「勿論です!こちらが、、、チーズ入りパスタのジェノベーゼ遭え改です!」 オーナー「なんだよ、同じじゃねぇか、普通違うもの作るだろ。」 男「とにかく食べてみてください。昨日とは比べ物にならないレベルのものに仕上がってますから!」 オーナー「ふーん。まぁとりあえず一口、、、」 男の言葉をオーナーは半信半疑で聞いて、出されたパスタをひとくち、口に運んだ。 ぶぼぉぉぉ!! 吐いた。 オーナー「新人!!確かに昨日とは比べ物にならない位、、、、不味いわ!!!」 ゴンッ 男「いて!」 オーナーは相当不味かったのか、涙を浮かべながら男の頭をげんこつで殴った。 オーナー「お前、次こんなの出したらクビだからな」 男「ええ!?そんな!」
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