味覚の領域

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男はオーナーの言葉を聞き肩を落としながら、皮むきをする野菜の段ボールを持って裏口に出た。 男(重た!くそっ!) 男「、、、なんで、あれが不味いんだよ、、、どうかしてんじゃないか?」 文句を並べながら男が皮むきをしてると、急に声をかけられた。 ?「どうかしたんですかな?お若い料理人さん。」 男「え?」 男は手を止め顔をあげるとそこには見た目初老の男が居た。 男(あれ?さっきまで誰もいなかったと思うけど、、、) 男「な、なんでしょうか?まだ開店前でお店やってないんですが、、、」 初老の男「いえ、このお店のオーナーさんに用事があってね、そこに浮かない顔した若いシェフが居るじゃないですか。どうしたのかなと思いましてね。」 男(料理業界の関係者かな?あ、皮むき早く終わらせなきゃ) 男「あ、僕のことはたいしたことじゃないですよ、オーナーに用ならどうぞ中に、厨房に居るはずです。」 男は初老の男の正体が気になったが、自分の仕事を早く終わらせて料理の試作をしたかった。 初老の男「そうですか、、、では失礼しますね。」 そう言うと初老の男は裏口の扉から店の中へ入っていった。 男「さてと、これ終わらさなきゃ。。。って終わるかな?この量、、、」 男の側には段ボール4箱分のジャガイモが待ち構えていた。 1時間後 男(そろそろ店開く時間だな、、、まだ一箱も終わってないぞ、、、一体何個あるんだよ) 男は心のなかで先が見えない作業に恐怖を覚えながら、箱の側面を見てみた。 そこには『爆安!ジャガイモ1000個入り!』と書かれていた。 男「はぁ!?1000個?え、この段ボールの中1000個もあんの!?え、じゃー全部で4000個?終わるわけねぇだろ!どうりで小さいジャガイモだと思った。剥きにくくてしょうがない。」 男はその量の多さにかなりの大きな声が出た。 ?「おやおや、大丈夫ですか?」 男「はひっ!?」 男は後ろから声をかけられオーナーかと思い心臓が飛び出るほど驚いた。 ゆっくりと振り向くとそこには先ほど中に入っていった初老の男が立っていた。 初老の男「なにかあったんですかね?お話ぐらいなら聞きますよ?」 男「いや、そんな人に話すようなことでも、、、」 初老の男「試作料理のことですかな?」 男「え?」
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