第1話

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ヤバイ。 思わずニヤけそうになり、俺は咄嗟に手に持っていたトレイで口元を隠した。 俺がこんなに性格の悪い人間だとは思わなかった。 「しょうがねえな。人数集めてやるから、そっちもよろしくな。あ、店とかの手配は果夏な。」 「ありがと! さすが望!」 「どういたしまして。お客様。」 あー、何喜んでんだ俺。 でも果夏も別れたのに泣いたりしないんだな。 そんなに好きじゃなかったのか? もし、この先果夏が泣くくらい好きなヤツが出来たら…… その時、俺はどうするんだろう。 幸せになって欲しいと願う反面、そんな日が来なければいいと思う矛盾。 俺しかいなくなったら、俺を見てくれるのかな。 だったら、もっと色んなヤツと付き合ってダメになれ。 果夏の理解者は、俺だけだと気づけばいい。 「……最低じゃん。」 バイトが終わってその帰り道、彼女の待つアパートに向かいながら呟いた。
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