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ヤバイ。
思わずニヤけそうになり、俺は咄嗟に手に持っていたトレイで口元を隠した。
俺がこんなに性格の悪い人間だとは思わなかった。
「しょうがねえな。人数集めてやるから、そっちもよろしくな。あ、店とかの手配は果夏な。」
「ありがと! さすが望!」
「どういたしまして。お客様。」
あー、何喜んでんだ俺。
でも果夏も別れたのに泣いたりしないんだな。
そんなに好きじゃなかったのか?
もし、この先果夏が泣くくらい好きなヤツが出来たら……
その時、俺はどうするんだろう。
幸せになって欲しいと願う反面、そんな日が来なければいいと思う矛盾。
俺しかいなくなったら、俺を見てくれるのかな。
だったら、もっと色んなヤツと付き合ってダメになれ。
果夏の理解者は、俺だけだと気づけばいい。
「……最低じゃん。」
バイトが終わってその帰り道、彼女の待つアパートに向かいながら呟いた。
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