第4話

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その日は秋分の日だった。 予想はしていたが、秋とは思えないほど気温は暖かい。 今日もホットよりアイスが出そうだ、と店に着くと仕込み作業に没頭した。 すると、渡辺がオーダーを通しに俺のいるバックヤードへ入ってきた。 あの合コンの後、渡辺は何も言ってこない。 未だに何故あの場に来たのか分からないままだった。 「アイスティー……じゃなかった、オレンジジュースお願いします。」 「ん。」 と、返事をしてから 「もしかして果夏来てる?」 アイスティーかオレンジジュース、どちらかを頼むのは果夏のような気がして、思わず渡辺に聞いてしまっていた。 渡辺は、ほんの一瞬眉尻を下げて笑った。 「吉野さん、田村さんのことになるとなんでも分かるみたいですね。」 「付き合いだけは長いからな。」 本当になんとなくだが果夏の気配みたいなものを漠然と感じるのは事実だ。 俺には果夏を探知するレーダーでも搭載されているかのように。
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