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「もしかして、本物ですか?」 「あー....いやその、何というか」 テレビや雑誌で何度か見た程度だけどこの特徴的な髪色と整った顔立ち、どう見てもアイドルのカガヤだった。 そこまで興味が無いのは事実だけれども実際に目の前にするとそれなりに驚くのは当然。 それにしてたこんなことって本当にあるのかと目の前でキャップを深く被るその姿を凝視する。 「やっぱりアイドルってオーラが凄いですね。あ、そういえば今日ライブ行くんで頑張って下さいね。それじゃあ」 「え?」 まるで地元の小さなライブハウスで細々と活動をしているインディーズバンドのメンバーに話すかのように、さらりと挨拶を交わすとそのまま歩き出す。 流石トップアイドルは見た目やオーラからして違う、もし私がファンだったら号泣ものだっただろうな、とイヤフォンを付けて某ロックバンドの曲を聴こうと携帯を片手に取る。 「ちょっと待って!」 「はい?」 既にイヤフォンの隙間からジャカジャカと流れるギターリフに半分聴覚を持って行かれながらも、背後からするカガヤの声に耳を傾ける。 「えっと。ファンの方....ですか?」 「え?」 「いや、ライブ来るって言ってるけど凄く落ち着いてたから。ビックリして、すみません」 「ああ。友達がノロにかかっちゃって、それで私が代わりに行くことになったんです。カガヤさんのライブに空席作りたくないからって」 「そうなんですか。お友達、早く良くなると良いですね」 にっこりと優しく笑うその顔はきらきらと光っていた。 いや、本当に。アイドルって凄い。 「この時間ってリハとかじゃないんですか?こんな所にいて大丈夫?」 「ああ....それなんですけど、違うんです」 「え?」 「俺、カガヤキイじゃないんですよ」
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