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四輪駆動車や大型トラックなど7台の車両が、町の中を低速で進む。
車両に乗っている者達は、道路の両側の家々に目を凝らし生存者を探す。
生存者を探しながら彼等は、車両の方へ近寄ってくるゾンビの頭にボウガンや弓で矢を撃ち込んでいた。
先頭を進む四輪駆動車の助手席に座っていた部隊の指揮官が、少し先の家の門にバリケードが築かれている事に気が付く。
彼は運転手に指図すると共に、車載されている無線機のマイクを掴み、後方を走る他の車両に連絡する。
「前方に、門の前にバリケードを築いている家がある、注意しろ」
彼が注意しろと言った対象は2つ。
1つは彼等の方へ近寄って来るゾンビ。
もう1つは、立てこもっているかも知れない生存者だった。
ゾンビパニックが起きてから情報を得る事が出来ずに孤立していた人達の中には、助けに来た彼等を略奪者だと思い込み、攻撃して来る者達が少なからず存在する。
指揮官の乗る四輪駆動車の直ぐ後ろを走っていた大型トラックから、返事が返って来た。
「オイ!
バリケードを築いている家の隣、倉庫らしい建物の前に誰か倒れていて、その身体に子供がすがりついているぞ」
バリケードが築かれている家と倉庫らしい建物の周りには2メートル近い塀があり、四輪駆動車より運転席の位置が高い大型トラックだからこそ、倉庫らしい建物の敷地内を覗き込む事が出来た。
その言葉で7台の車両は即座に停車。
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