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3台の四輪駆動車から運転手を除く9人の男女が降車、荷台から脚立や梯子を引っ張り出し、バリケードが築かれている家やその隣の倉庫らしい建物を囲む塀を乗り越える。
倉庫らしい建物を囲む塀を乗り越えた女性の1人が、女性に背を向けている子供に近寄り声をかけようとした時、女性の直ぐ後ろにいた指揮官が子供の反応に不信の念を覚え、警告の声をかけた。
「気を付けろ!
子供の様子がおかしい」
「え!?」
女性は警告の声に従い、倒れている男性を揺さぶっている子供の前に移動する。
倒れている男性を揺さぶっている少女は、小型の防災ラジオを首から下げ、上着のポケットからのびるイヤホンが両耳を塞いでいた。
そして顔や手が真っ青で血の気が全く無い、ゾンビだ!
しかし様子がおかしい、女性はその事を指揮官に伝える。
「おかしいです。
この男性は首の骨を折ったのが死因と思われますが、食われている跡が見当たりません」
「何だって!?」
指揮官もゾンビの前に回り込み、遺体とゾンビを見比べた。
確かにおかしい。
普通人間がゾンビに近寄ればその肉を食らおうと近寄って来るのに、このゾンビは指揮官や女性の方を見もしない。
指揮官は首から下げている無線機で、この町の市役所付近で信号弾や花火を打ち上げ続けてゾンビを引きつけ、囮を受け持っている本隊に連絡する。
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