第一信~珠香(子玉)から碧香(青郁)へ

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 大妃殿での私の仕事は宮女の方の身の回りのお世話をしたり、殿内の雑用をするということでした。私の仕える方はこのような自分をお気に召してくれるのだろうか、疎まれてしまったらどうしよう……。だからといって今更村にも戻ることは出来ません。気掛かりは山のようにありましたが、勇気を出して、これから仕えることになる方のもとへ向かいました。  こうして碧香さまと出会ったのですが、初めてお姿を見た時、これまで私が見た仙女のような女性たちなど足元に及ばないと思いました。服装や髪型は大妃殿で会った女性たちと変わりませんでしたが、何というか、御伽話に出てくる女神さまというのは、こういう方なのだろうと思いました。女神さまは、私のもとにいらっしゃって優しい声で言葉を掛けて下さるではありませんか。その時、とてもいい匂いがしたのです。私の手をとると女神さまは部屋の真中に座らせてお茶やお菓子を勧めて下さいました。  大妃殿での私の仕事は宮女の方の身の回りのお世話をしたり、殿内の雑用をするということでした。私の仕える方はこのような自分をお気に召してくれるのだろうか、疎まれてしまったらどうしよう……。だからといって今更村にも戻ることは出来ません。気掛かりは山のようにありましたが、勇気を出して、これから仕えることになる方のもとへ向かいました。  こうして碧香さまと出会ったのですが、初めてお姿を見た時、これまで私が見た仙女のような女性たちなど足元に及ばないと思いました。服装や髪型は大妃殿で会った女性たちと変わりませんでしたが、何というか、御伽話に出てくる女神さまというのは、こういう方なのだろうと思いました。女神さまは、私のもとにいらっしゃって優しい声で言葉を掛けて下さるではありませんか。その時、とてもいい匂いがしたのです。私の手をとると女神さまは部屋の真中に座らせてお茶やお菓子を勧めて下さいました。  私はこれからこの高貴な方と一緒に暮らすのだ、そう思うと有り難いやらもったいないやら、とにかく本当に天に昇るような気分でした。  このように書くと、何て大げさなのでしょうとお笑いになるかも知れませんね。  大妃殿での仕事は大変といえば大変かも知れませんが、田舎の農民の娘に過ぎない私にとっては日常的なことでした。毎日、確実に食事ができ、夜は柔らかい布団に寝られることは私のような身の上にとっては夢のようなことです。
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