第二章 卒業

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 まず、入学してすぐにオリエンテーションという名の説明会が大学では開始される。 右も左も分からない大学の大きな大きな校舎の中で、 毎日私は孤独だった。 いくら本が好きでも、心の拠り所がなければつらいものだ。 一人で不安を抱えながら、一人で色んな書類もいっぱい胸に抱え、 毎日色んな教室で説明を受け、ひたすらどの講義を取るべきか、 書類とのにらめっこの日々である。  それが終わると、ついに講義が始まる。 講義自体は文学について触れられるなんて、とても楽しみだったのだが、 私にはとてもとても憂鬱な事がひとつあった。  それは自己紹介だ。 大学に入る前もクラス替えをしたときに ちょくちょく自己紹介をする機会はあったものの、 こんなに大々的に知らないひとたちの前で何回も何回も自己紹介するなんて、 教科書ですらまともに大きい声で読めない私にとっては 毎日毎日がしんどいの一言だった。  しかし、そんなことを暢気に言っている場合ではなかった。 自己紹介だけではなく、私の同級生たちはどんどん私の中に入ってこようとする。 どこ出身か、どんな学生生活をしてきたか、恋人はいるのか、 皆色んな情報を得ようとする。 そして、自分の縄張りを作ろうと努力する。 この時期に頑張らなくてはあと四年間を一人で過ごさなくてはならなくなる。 だから、皆必死なのだ。
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