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実は、そんな彼のせいで、俺は「のりたまこ」アレルギーになってしまった。
正直、食べるどころか見るのも怖い。
黄色いひよこが目印ののりたまこ。
あんなに可愛いパッケージでも、俺からすれば、人の不幸を笑うニヤケ面したひよこ野郎としか思えない。
チキンの子供のクセして、俺のことを「チキンヤロー」と言っているようにしか思えないあの顔を、心底憎む。
いいや。
憎むべきは俺をこんな体にした友人か。
それもこれも。
サークルの飲み会で終電をなくし、アイツの家に「チンするご飯」10食分で泊めて貰ったことがそもそもの間違いだったんだ。
ケチな彼は歯磨き用とトイレでも水を流す分だと言って、2リットルの水までコンビニで買わされた。
まぁ、それはそれでいい。
風呂にも入れさせてもらえず、ただ、煎餅布団を与えられただけでも、野宿するよりはマシだと、この時までは思っていた。
そう。
眠りにつき、朝起きるまでは――――
俺はなんで漫喫やサウナで始発まで待たなかったのかと、これから後悔することになるとは、飲んで酔っ払って、薄っぺらい布団ですら最高の寝心地に感じて眠りについた俺には知る由もなかった。
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