[芹香編] 第7章 芹香side

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後で照れながら昂さんに、 妊娠を知り不安になったと報告すると、 彼は笑ってこう言った。 「バカだなあ。 どうしてニュースが悲しい事件しか 伝えないのか知ってるかい?」 ううん、と私は首を横に振る。 「幸せな事件は当たり前すぎるからだよ。 悲しい事件は滅多になくて、 珍しいから伝えるんだ。 だってほら、誰だって幸せになりたいし、 皆んな一生懸命、努力してるから。 大なり小なり、カタチを変えて、 それぞれ幸せを掴んでるんだよ。 だから安心しろ、 この世の中は、幸せで溢れてる」 …… 「わああッ、綺麗!!」 新郎新婦が入場し、 会場が歓声に包まれる。 恥じらう由布ちゃんと、 その姿を愛おしそうに見つめる涼介さん。 2人に拍手を送りながら、 私は昂さんの言葉を思い浮かべていた。 安心しろ、 この世の中は、幸せで溢れてる…と。 --END--
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