[芹香編] 第7章 芹香side

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「なに?どうしたの芹香さんッ」 「な、なんでもない」 「何でもないワケ無いでしょ? あ、ほら、コレあげるから。 だから泣き止んで」 「え…」 華子ちゃんがスカートのポケットから、 恭しく取り出したのは、 近頃では珍しくなった、昆布飴で。 『渋いなあ』という驚きと、 『これを貰ったら嬉しいでしょ? だから泣くのをヤメなさい』 …そう思っている華子ちゃんの思考が 面白すぎて、吹き出してしまった。 「あは。芹香さん、もう笑った。 仕方ないなあ、もう1個あげるから」 「ううん。1個で充分。 ね、どこで買ったのコレ」 隣家の須崎さんに貰ったのだと、 華子ちゃんは自慢げに答える。 いつの間にか須崎さんの奥さんとは、 家に招いて貰うほどの仲になっていて。 先日も一緒に、 大量のインゲンを筋取りしたそうだ。 「市販のインゲンは若いのが多くて、 柔らかいから筋を取らなくてもイイって。 ウチのお母さんよりも年齢が上だから、 須崎さん、物知りなんだよ~」 その他にもいろいろと、 須崎さん経由の豆知識を披露し出す。 このコはどこに行っても、 砦が無いと言うか。 馴染むなあ。 私なんて、 24年も須崎さんの隣りに住んでるけど、 未だに打ち解けて会話したこと無いよ?
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