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そう言って、
華子ちゃんは最後まで笑顔のまま、
元気イッパイに去って行く。
反対に西村さんは今にも泣きそうで、
弱々しく手を上げ去って行った。
振り返ると既に昂さんは号泣してて、
恥かしそうにこう言い訳する。
「最近、涙腺がバカになっちゃったんだ」
「…みたいだね」
「泣く男なんて、カッコ悪いよな」
「ううん。そうでもないよ」
だって、容子さんが言ってたから。
>両親を亡くし、
>1人になったというのに、
>昂はあまり泣かなかったの。
>悲しみよりも、驚きの方が大きすぎて、
>泣くヒマが無かったんでしょうね。
…って。
その分をいま消化してるんじゃないかな。
よく考えたら、おかしな話だよね。
悲しくても、嬉しくても涙が出るなんて。
「あ、ねえ、昂さん。
それ、別れが悲しくて泣いてるんだよね」
ついっと一粒だけ親指で掬い、
私の手のひらに乗せながら彼は答えた。
「いや、笑うなよ?
『幸せだなあ』と思ったんだ。
ほら、家族が増えたみたいな気がして。
容子さんや河合さんはもちろん、
芹香に西村さんに華子ちゃん。
皆んな皆んな、俺の家族だもんな」
…愛しい気持ちが溢れてくる。
堪らなくなって私は昂さんを、
背中からギュッと抱き締めた。
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