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……
半年後。
「きゃ、もうこんな時間?
昂さん!背中のファスナーをお願い」
「落ち着けって芹香。
まだまだ時間は余裕だから」
「だって花嫁は感情が高ぶって、
話し相手が欲しくなるモノなんだよッ」
「いや、それは一般人の考えだし。
新郎があの涼介さんなんだぞ?
きっとドレス姿の由布ちゃんに発情して、
ヤッてるかもしんないって、今頃」
『そんな下衆な考え、大嫌い!』
…そう怒った1時間後。
花嫁の控室に入って私は確信した。
これはたぶん、事後だな。
なぜなら涼介さんの唇に真っ赤な口紅が。
心なしか、2人の呼吸も荒い。
き、気まずい。
早く来過ぎた私が悪いの??
「ていうか、なんで新郎が花嫁控室に?」
私の問いに、
由布ちゃんは困り顔で答える。
「でしょ~。
出てけと言っても、出て行かないのよ。
なんかもう付き纏われちゃって。
ヘアメイクさんも呆れて、
30分だけ2人きりにしてくれるって」
そっか。
じゃあ私も気を利かせないとね。
適当に話を切り上げ、私も控室を出た。
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