264人が本棚に入れています
本棚に追加
「芹香?どうした」
「あ、昂さん…」
披露宴に招待されていないのに、
自分たちの参考のため…なんて名目で
わざわざついて来てくれた昂さんに、
残念ながらアナタの予想通りでしたと、
顔を紅潮させて伝える。
そうこうしているうち、
真希さんだの、営業部の人々だのが
どんどんやって来て大混雑に。
さすがにもう、
控室から涼介さんは出て行ったらしく。
まだ披露宴まで1時間以上あるので、
昂さんと2人でコーヒーを飲むことに。
日曜の午前中ということもあり、
ホテルのロビーはそこそこ混んでいて、
案内された席へと向かう途中、
「せ…りか?」
声を掛けられた。
私を呼び捨てにするのは、
家族と昂さんくらいで。
しかも男性の声だったので、
訝しい顔をして振り返ると
そこに彼がいた。
「圭…くん」
「うわあ、やっぱり。元気だったか?」
『私の初めての男性』
…そう言えば良いだろうか。
同棲中の彼女がいたにも関わらず、
コンパに来て、私をお持ち帰りし、
その挙句に捨てた人。
ああ、なんだか相変わらずだな。
あんな別れ方をしたら、
普通は声を掛けて来ないよ。
最初のコメントを投稿しよう!