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「どうしてここにいるの? その制服、隣町の学校でしょ」
あぁ、やっぱり隣町だったんだ、ここ。
「……とにかく、家においで。君を見なかったことにはできない」
うち?
「立てる? 肩、かすから。がんばって。すぐそこだから」
その人は俺の右腕をひっぱると、自身の肩へと回した。傘を右手に持ち替えて、左手を俺の脇下にいれて思い切りひっぱる。
俺も力を振り絞って、足に力を入れた。なんとか立てた。
「よしよし。來香! 來香ー!」
彼は“くりか”と雪の中に叫んだ。珍しい名前だから犬かと思えば
「南槻様、ここです」
人だった。青年は“なつき”というようだ。少し後ろの方からやってきた彼女の声音は冷たい。
「彼を連れて行く。左側、持ってあげて」
「……高校生、ですか?」
「あぁ。ここに置いていくわけにはいかないよ」
「……はい」
彼女が俺と塀の間に割入り、彼は俺の右側を支えた。
「買い物の帰りに、思わぬ拾いものだね」
彼がそう言うのを聞きながら、俺たち三人は雪の中を歩いた。
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