0人が本棚に入れています
本棚に追加
薄い灰色の雲に覆われた空は美しいとは思えない。
雲ひとつない澄んだ青空の方が僕は美しいと感じる。
でもその灰色の空が青空を超える美しさを魅せる時がある。
ひとつの汚れも無く真っ白な粒をゆっくりと地へ舞わせる時である。
これを雪というらしい。
その名を知ったのは僕がこの世界に降り立った数十年後の話だった。
降り立ったと言っても僕がこの世界に本当に存在してるのか、なんてわからない。
僕は普通の人には見えないものが見える。
幽霊や人のオーラ、世に言う妖怪なんてものだって。
でもそんな僕には1つだけ見えないものがある。
それは自分自身。
誰にも僕が見えないらしいんだ。
人は人同士が見えるし、幽霊だったら幽霊同士が見える。
じゃあ僕はそのどっちだって無いってことらしい。
そんな僕は本当に存在しているのかな。
僕には、意味があるのかな・・・。
最初のコメントを投稿しよう!