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いつかは絶対バレるのに。
でも、普通の人間として見てもらいたいから。
身体を拭き終え座る僕の前には暖かい食事が出されていた。
「さあ、食え!」
そう言って彼は自分の食事を忙しく口へ運んだ。
食べるって、なんなのかな?
僕には必要のないものだ。
食べたくても食べれないけど。
「どうした?嫌いなもんでもあんのか?」
「ううん。あまり、お腹空いてないんだ。」
「そんな風には見えねーけどな。そう言えば名前聞いてなかったな。俺の名前は裕也。お前は?」
「名前・・・。僕にはないよ。」
「ない?そんなわけねーだろ。親が付けてくれた名前があるだろ。」
「僕は、僕なんだ。親なんていないよ。気が付いたら、この世界にいた。」
裕也は黙り込んで少し考えているようだった。
その後ゆっくりと口を開いた。
「お前、捨てられたのか?」
「・・・え?」
「いや、いい!誰にだって辛い過去の一つや二つあるさ!話したくなったら話せばいい・・・。お前家ないんだろ?しばらくここで暮らせよ。」
「え?いい、の?」
「あぁ、構わねえぜ。今日からここがお前の居場所だ!」
裕也は不思議だ。
僕のことが見えることももちろんそうだが、今まで観察してきた人間とはどこか雰囲気が違う。
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