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「恩・・・?愛情・・・?」
これまで聞いたこともあるしそういう場面を何度も見てきた。
だけど一度もその感情を理解したことがなかった。
「わからないか?」
「・・・うん。」
「いいさ。これから知っていけば。人と繋がって、理解して、一緒に話して、一緒に飯食って・・・。そういう風にお互いを知りながら思い合えばその感情は理解できるはずだ。」
「でもそのやり方がわからないんだ。人と話すことだって裕也が初めてだったんだ。」
「そんなわけないだろう?生きていれば誰かと話をするなんて避けられないはずだぜ?」
「・・・。」
僕は迷った。
ずっとここで暮せばその感情が理解できるかもしれない。
でも、絶対にいつかは正体がバレる。
裕也はどう思うのかな・・・?
「まぁいいや。これから俺がお前に教えてやる。人と思い合うってどんなにいいもんかをな。」
「・・・うん。」
「てかお前って呼ぶのもなんか素っ気ないな。名前つけてやる。そうだな・・・裕人ってのはどうだ?俺の名前の「裕」と誰よりも「人」らしくあれって意味での裕人。」
「裕人、裕人・・・。裕人!」
初めて人から呼んでもらえる喜びを知った。
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