第二話 青い水面

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第二話 青い水面

小学3年の夏休み。 俺はひなこと泥の海で出会った。 貴志と二人。 裸のひなこと。 お気に入りのチェックのシャツをひなこに着せて、俺はその日、ひなこの為に泣いたんだ。 何も分からず、無垢なあいつは、駆け付けた母親の酷く歪んだ顔を見て初めて、この世の汚い部分を汲んだと思った。 母親の嘆く様な表情に、あいつはやっと泣けたんだ。 俺はひたすらひなこを可哀想に想った。 だから、これからは、ひなこの事を守ってやりたい。 守ってやろうと心に誓った。 なのに、俺は、結局、それを裏切った。
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