七年目の記念日

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「真波〈まなみ〉ー! 帰ったぞ。飯はまだかー!?」  玄関に入り、重たい荷物を下ろす。  真波とは、一緒に暮らしてもう七年目になる。  俺が、世間とは隔離された窮屈な暗闇から抜け出せたのも、真波のおかげである。しかしあのときは、真波にもつらい思いをさせてしまった。だから、今度は俺が真波を助ける番だ。 「お帰りなさい。もうちょっと待ってね。先にお風呂に入っちゃってもいいわよ」 「そうか。じゃあ、風呂いってくる」  風呂場に直行し、服を脱ぐ。いったんシャワーで体を流してから、湯船につかって、蓄積された疲労を逃がすかのように、全身をお湯に預ける。 「ふぃー」  気持ちよくて、思わず親父くさい声がでてしまった。  湯船から上がり、頭を洗い始める。シャンプーで髪を泡立てながら、不安がふつふつと沸き上がってきた。  真波は、もしかして今日が何の日か、忘れているのではないか。朝、家を出ていくときも何も言われなかったし、さっき帰って来たときだってそうだった。ちょうど七年目の大事な記念日なのに……。  その不安を削ぎ落とすかのように、いつも以上に念入りに体を洗った。
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