壱章 借の屋敷

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この物語を観ている観客の皆様には少しだけ教えて差し上げましょう 少女は唄を唄うと自分自身のなにかを犠牲にするのです それは少女の契約が関係しています でもそれを今は言わないでおきましょう さて皆様疑問に思いませんか? 私が誰なのか 思わないですか? ふふふっ どちらでも構いません ですがこれだけは言います 私 俺 僕 私‐わたくし‐ は傍観者でありこの物語の語り手です 私も俺も僕も私もすべて私です 私には決まった一人称がありません なぜなら必要ないからです この物語を進めるうえでは そして皆様はこの物語を観ている観客となります 皆様は劇場にいるということです それとこの物語の主役は眠っている少年、彼ではありません 唄を唄った少女、彼女です 少年はこの物語をはじめる為に後押ししたにすぎないのです
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