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家から歩いて5分くらいのところに、コンビニはあった。
とりあえずおにぎりとサラダ、それからインスタントのスープでも買ってコンビニを出る。
ここまでは何も、そう本当に何も、際立って変わった事などなかった。
しかし、それは突然の事だった。
「こんばんは。」
コンビニを出て100mほど歩いたところにある交差点で、ある1人の女が声をかけてきた。
見たことのない女。特別綺麗な人、という訳ではなかった。
しかし、不思議と目を引く女だった。
身長は僕より少し低いくらいだろうか。
黒いコートを身にまとい、僕の方を向いて微笑みながら佇んでいる。
自分に似合う服装というものを分かっている、そんな格好だった。
それだけではなく、肩くらいまでの長さの黒い髪は、綺麗に切りそろえられていて艶があった。目はほんの少しつり上がっていたが、整えられた眉とよく合っていた。
そして何より。暗闇に、赤い口紅がとてもよく映えていた。
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