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「こんばんは。」
気づけば彼女と出会って半年が経っていた。
それでも僕は、相変わらず彼女とは毎晩のように会っていた。
変わったのは僕達のお喋りの場所がコンビニから僕の家になったこと。それから僕の気持ちだけ。
僕のことを誰よりも分かってくれる彼女に対して僕が好意を抱くのに、そんなに時間はかからなかった。
そして僕が自分の気持ちを自覚したこと、それに加えて彼女の、僕の手料理を食べてみたいというその一言で、僕はすんなりと彼女を家に招いた。
それからは、僕の家で夕食を食べながら過ごすのが当たり前になっていた。
しかし、彼女が何を思って僕の家に訪れているのかは分からない。
僕達の関係は、恋人でも何でもなく、酷く曖昧だった。
その理由は簡単。この穏やかな時間が大切だった僕が、それを崩したくないあまりに、彼女との関係をはっきりさせることができなかったからだ。
だからこそ、毎晩のように僕の家にやって来る彼女が、僕は分からなかった。
けれども彼女はいつだって、帰り際、微笑みながら僕との再会を望む言葉をくれたから、それだけで満足だった。
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