また・・・・・・ね。

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対して僕が彼女について知っていることは、ごく僅かだった。 冬が過ぎ、黒いコートを纏わなくなった彼女ではあったが、身につけているのはいつも黒いもの。 そこから察するに、彼女は黒い服を好むということ。 それから、出会った時から変わらないもの。 彼女は赤い口紅を常に愛用していること。 後は名前と、ほとんど使うことのない連絡先だけ。 たったそれだけだった。 それと、強いて付け加えるなら、クールに見える彼女は意外と可愛いものが好きだということ。 それは、彼女がたまに僕の家に持ってくるぬいぐるみが証明してくれている。 プレゼントと称してそれを飾る彼女。 男の家にぬいぐるみはないだろうと思ったが、どうせ彼女以外を家に招くつもりはない。 それなら折角の彼女の可愛い一面を否定する気はなく、大人しく彼女が飾るそれを受け入れていた。 部屋に偏りなくバラバラに置かれたそれは、もう5つになる。 僕の部屋が少しずつ彼女の色に染められてきているようで、なんだか嬉しかった。
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