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ガラガラ、とドアを開ける。 見える影のほとんどが、知らない先生のものだった。 ババロアは、右奥の方に座っていた。表情だけでは怒っているのか笑っているのか判別できない、難しい顔つきでパソコンと向き合っている。 僕は恐る恐る、ババロアに近づいた。 「野田」 ビクッと、心臓が跳ねる。僕の方を見ないまま、ババロアが続けた。 「遅かったな。今まで何をしていた」 息を呑んで、ババロアを見る。 何かを言おうとしても、上手く言葉にならない。 緊張で、胸が詰まってしまいそうだった。 「どうした。言いたいことがあるなら、早く言ってみろ」 「あ……、その、……数学の、テストで、呼ばれた、から」 ババロアは僕を見て、あの時と同じ目を向けた。 「あぁ、そうだったな。それで、何か言いたいことはないのか」 「いえ……。特に、何も……ありません」 下を向いて、震えた声で呟いた。 このまま時が解決してくれれば、そう思った。 「そうか……」 ババロアが、今度は悲しそうな表情を見せる。
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