0人が本棚に入れています
本棚に追加
「学級委員、そんなに嫌か」
学級委員、その言葉が聞こえると同時に、鼓動が早くなるのを感じた。
「いや、そういう、わけじゃ」
「じゃああの点数はなんだ。64点だぞ。ふざけているのか」
ババロアの言葉に、知らない棘が見えた。勢いよく僕の心に突き刺さって、ズキズキと痛い。心なしか、ババロアも苦しそうだった。
「いや、そういう、わけでも」
手をギュッと握り締めて、唇を思い切り噛んだ。
そうしないと、何かが僕の内側から溢れてしまいそうだったから。
「まあ、今日はいい。家に帰って、また明日職員室に来い。……それと、ちゃんと鏡見て、身だしなみを確認していけ」
大きなため息をついて、ババロアが言う。
そこで初めて、僕は自分が泣いていることに気付いた。
慌てて手で拭い、「失礼します」と告げ、駆け足で職員室を後にした。
それが優しさだったのか、それとも別の何かだったのか、理解できるほどに僕はババロアを知ってはいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!