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学級委員長をやってみないか。
そうババロアから言われたのは、二週間前のテスト期間中。
僕が図書室で勉強しているときのことだった。
その頃の僕は、ババロアのことをまだ馬場先生と思っていた。
まともに喋ったことも、怒られたこともなかったので、特に悪い印象も持っていなかったし、何となく親近感もあったから。どちらかと言うと好きな先生だった。
馬場先生は僕に対してニッ、と微笑むと、「野田」と嬉しそうに歩み寄ってくる。
思えば、先生は最初からこんな感じだった。
親しみやすいというよりは馴れ馴れしく、そのくせ授業や生活指導ではやけに厳しいから、距離感が掴み辛い。
「あの、その……僕は、」
目線を馬場先生から反らしながら、やっとの思いでそう答えた。
返事をしようにも、どちらとも断定できない。
何かを決める勇気が、僕には決定的に欠けていた。
「何だ、どうした。恥ずかしいか? 嫌なら嫌だと言っていいんだぞ?」
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