639人が本棚に入れています
本棚に追加
黒い。
学校に向かったはずのおれは、なぜか今黒い場所にいる。
暗いではなく黒い。
周りの景色が突然黒だけに変わっても、おれ自身はハッキリと見えるから暗いわけではない。と思う。
何か疲れた。
猫たちに突撃されるところまでは日常だったのに。
王子が来て、おかしくなった。
変化があるまでは休憩してても問題ないよね。
その場に座り膝を抱えるおれ。
地に接している面が増えると安心するのか、自然と瞼が降りてくる。
……おやすみ。
……きて…お……ん。
「起きてっ!大神朋也くん」
「ふぉ?」
大きな声と揺さぶりに目を覚ました先は、白髪の美形のアップでした。
若白髪?苦労人?
「違います。確かに下の者に恵まれず、苦労が絶えませんが髪の色は生まれつきです。そして、若く見えますが私は朋也くんよりも遥かに年上です」
「?……声に、出て」
「ませんでしたよ」
考えが読まれた?
とりあえず目の前の人は苦労してて、でも白髪の原因ではなく、見た目以上におれよりずっと年上。
おぉ、単なる若作りか。
「違いますって。髪は生まれつきと言ったでしょう。それに私、人ではないですし」
また読まれてる?!
ということは、妖怪・サトリ!
「違います」
最初のコメントを投稿しよう!