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それからおれは、白髪美形の正体がサトリではなく創世神であると、証拠を交えて懇々と説明された。
その後あっさり認めるおれに神はしばらく泣き崩れていた。
まぁ、証拠と称して6対の翼を出してもらい、満足するまで撫でまわしたのが大きな要因だろう。
他にも、地べたのままは疲れるし立てば20㎝近い身長差に首がつらい。と訴えて椅子、ついでにテーブルに茶菓子を出してもらった。
神自身も緑茶を味わい堪能してたからいいだろう。
おれがみたらし団子を食べている間も何か話していたが内容は知らない。
その時おれは串に残った5つ目の団子と格闘していた。だから悪くない。
正直、推理ごっこの流れが面白かっただけで、神を疑っていたわけではない。
いろいろ出させたのも単なる好奇心からだ。
「落ち……つい、た?」
「ええ。もう大丈夫です」
取り乱す原因となったおれに、余裕を取り戻した神は笑顔を向ける。
「それでは改めて、朋也くんの置かれた状況について説明します」
「ん」
気持ち座る姿勢を正す。
「今私たちがいるのは次元と次元の狭間、本来は存在しない空間です。朋也くんのため私が用意しました」
「おれ、のため」
「はい。君は猫たちと別れた後、普段と変わらず遅刻をし、反省文を書かされているはずでした。橘勇気が日吉新の存在を求め、その願いに世界神が応えさえしなければ」
説明が続くにつれ、顔や声に感情が消えていく。
事務的な語りと美形な顔が機械人形を連想させる。
なんだかそれが嫌で、テーブルの下に半分潜り込む感じになりながら思いっきり蹴った。
神の臑を。
「っぅ、何を」
「うん。今のが、いい」
「!?」
突然の痛みに涙を滲ませ訴える神の姿にホッとし、おれは知らずに笑んでいたらしい。
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