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新 side
勇気に魔法陣へ引きずり込まれ、気がつけば俺は白い空間にいた。
ゲームや小説と同じ流れなら、その内、神を名乗るイケメンか美女が来るはず。まれにじいさんの場合もあるけど。
どうせなら美人がいいな。
と、できることもない俺はこれからの展開について予想を立てていれば、前方に扉が現れる。
「すみません。お待たせしました、日吉新くん」
扉が開き現れたのは白髪の美人だった。
イケメンと呼ぶには男らしさが少ない、中性的な顔立ちだから美人で問題ない。
「いや、それほど待っていない。それで、あんたは神様で合ってる?」
「ええ、私は創世神と呼ばれています」
「なるほど」
「……君は疑わないんですね」
『創世神』の名に、俺が置かれた状況がなんとなくわかった。
創世神が何か呟いたが聞き逃し、聞き返せば「何でもない」と笑顔でかわされた。
本当に何でもなかったようで、そのまま状況の説明が始まる。
「まずここは、転生の間とも呼ばれる魂の行き先を決める場所です。そして新くんは」
「ちょい待ち」
長くなりそうな説明に待ったをかける。
俺の意図がわからず創世神は顔をキョトンとさせている。それが少しおかしくて小さく笑ってしまった。
「くん付けはいらない。それと、予想が正しければ、俺は勇者召喚に巻き込まれた。が、召喚が一人限定のものだったために転生できず、さまよっていた魂だけの俺を保護してくれた。違う?」
「いえ。多少の違いはありますが基本的に問題ありません」
「どっか違った?」
「新く、新は友人の彼に望まれ巻き込まれたため、逆に転生してもらうしかありません。それに新は、死んではいないので肉体もあります」
予想外。ではなぜ、俺が創世神に呼ばれる必要性がわからず先を促す。
話されていく内容の理不尽さに、溜まっていた勇気への憤りが増した。
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