プロローグ

5/10
前へ
/110ページ
次へ
さて、状況の再確認だ。 うつ伏せで猫たちに拘束されたままの、おれ。 「助ける」というものの、猫たちに威嚇されて近づけないでいる『ゆうき』さん。 その様子をただ見てるだけの『あらた』さん。 うん。進展なし。 おれ的には寧ろ悪化? 今気づいたけど、この二人同じ高校の有名人だ。 教師を含め、異性ならば誰からも好かれる理想の王子様――橘勇気。 と、逆に同性から絶大な支持を持つ陰の仕事人――日吉新。 まともに顔を見たことがなかったからなぁ。 気づけたことを誉めて欲しいくらいだ。 「あの……行って。遅刻、する」 「そんなこと気にしないでっ、今助けるから」 うぇー、何この人? 頭の上から重みがなくなったから、慣れない他人との会話を頑張ってみたのに…… そもそも、なぜに助けるが前提? さっきまでのおれは今の状況程困ってなかった。 まさかこの、160満たない低い身長が原因か? 小さいと弱いは同義じゃないだろう?!
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

639人が本棚に入れています
本棚に追加