プロローグ

9/10
前へ
/110ページ
次へ
一分も経たずに、おれは再び動けなくなっていた。 目の前の光景によって。 「王子と、仕事人?」 10mくらい先で激しい攻防を繰り広げている。 別れたばかりの二人が。 「さっさと行けよ。勇気」 「嫌だっ、行くなら新も一緒に」 「断る!」 互いに腕を掴み、突き放そうとする仕事人。放すまいと踏ん張る王子。 王子の後ろに何かある? 視線をずらした先に白く淡い光を放つ魔法陣!? 勇者召喚?転生モノ? 勇者に王子をご指名で、仕事人は巻き込まれ回避希望かな。 何でもいいけど早く終わってくれないと通れない。 「っしつこい!」 腕をはらった流れで回し蹴りを決める仕事人。 王子は勢いを殺せずそのまま魔法陣に沈んでいく。 「じゃあな、精々頑張れよ。勇者様」 消えそうな王子に親指を立て、清々しい笑顔で別れを告げている。 ああ、アンタも被害者だったのか……仕事人。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

639人が本棚に入れています
本棚に追加