639人が本棚に入れています
本棚に追加
一分も経たずに、おれは再び動けなくなっていた。
目の前の光景によって。
「王子と、仕事人?」
10mくらい先で激しい攻防を繰り広げている。
別れたばかりの二人が。
「さっさと行けよ。勇気」
「嫌だっ、行くなら新も一緒に」
「断る!」
互いに腕を掴み、突き放そうとする仕事人。放すまいと踏ん張る王子。
王子の後ろに何かある?
視線をずらした先に白く淡い光を放つ魔法陣!?
勇者召喚?転生モノ?
勇者に王子をご指名で、仕事人は巻き込まれ回避希望かな。
何でもいいけど早く終わってくれないと通れない。
「っしつこい!」
腕をはらった流れで回し蹴りを決める仕事人。
王子は勢いを殺せずそのまま魔法陣に沈んでいく。
「じゃあな、精々頑張れよ。勇者様」
消えそうな王子に親指を立て、清々しい笑顔で別れを告げている。
ああ、アンタも被害者だったのか……仕事人。
最初のコメントを投稿しよう!