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この時代の幻想郷は、博麗神社に絶対的な信頼と崇拝者が多かった。
現在に至るまでに、幻想郷を創造した三人の功労者…通称「三賢人」。
境界を操り、幻想郷を見守る大賢者「八雲 紫」。
博麗大結界を作り出し、幻想郷の守護者とされる「博麗の巫女」。
そして、未だに詳細の不明の八雲紫と初代博麗の巫女を支えたとされる「人物」…。
霊能力者達は、中でも「博麗」という称号を欲した。
外界で「爪弾き」された者や「異能者・異端児扱い」された者も多くいるため、実力さえ伴えば、いずれは自分達も博麗の恩恵を得られると考える者も少なくなかった。
だが、紫は「有り得ない」と言っており、当代の博麗の巫女も軽くあしらう程度でしかなかった。
ところが、今回の様な事は比較的多かったのがこの頃の時代背景にあった。
「さて…標的は?」
「どうやら今回の妖怪は、霊能力者の霊力を吸収する能力を持つ様です」
「オイオイ?様ですって…」
藍が示す方角を見ると、そこには人里で失踪したとされる霊能力者達の亡骸が点在していた。
それも、一部白骨化したものや、ミイラ化もしてあるのもあった。
「…どういう原理であぁもなるんだ?」
「恐らく、霊力の量によるものでしょう。霊力が多量ならば、白骨化し、逆に少量ならばミイラ化する…しかし、この量からして…」
「奴さん、相当量の霊力を溜め込んでるね…こりゃあ、本気出さないといけないかねぇ?」
「!…まさか“アレ”を使う気では―――」
「やーだぁ、心配してくれるの藍ちゃん?いつもはツンケンしてるかと思えば、やっぱり優しいんだねぇ?」
おばさん口調で詰め寄る博麗の巫女に、藍は「真面目になってください!」と言って後退りする。
「ハイハイ…んじゃ、行こうか?」
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