0人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと一緒にいると誓ったはずなのに……
片翼を失った気分だ。
病室のベッドで静かに眠っている彼女。
その寝姿はさっきまでの表情とは打って変わり穏やかな表情をしている。
彼女の心が身体から切り取られた事を理解する。
薄れゆく意識の中で彼女は僕にごめんねと告げた。
夫婦生活を営んで40年間、何度も言われた言葉。
僕はその度に気にするなと適当に受け流してきたけど、今日だけは違うかな。
もう目覚めることのない彼女に届くか分からないけど、これだけは伝えておきたい。
『必ずまた会おうね』
頬に一筋の液体が流れる。
無意識の内に涙を流していた。
さようならなんて言わないから。
また出逢う時まで、またね。
最初のコメントを投稿しよう!